経営に悩む経営者

当社ブログを拝見して頂き誠にありがとうございます。

今回は、過去コンサルティングを受けられた方、これからコンサルティングを受けることをご検討している経営者様を対象にブログを作成しました。

当社では主に、アパレル関連業界のメーカー様、セレクトショップやライフスタイルショップなどの小売様、縫製業などの工場様を対象にコンサルティングを行っています。

さて、当社では金融機関等からのご紹介で、アパレル業界の経営者のご紹介を受けることがあります。

その際に経営者からのご相談の際によく伺う声があります。

それは

・過去、コンサルタントを起用して失敗した

・コンサルティングを起用しても全く効果が無かった

こうした声を聞くことが少なくありません。

中には金融機関からの紹介なので渋々お会いしているという経営者様もおられます。

総じて既に過去何らかの形でコンサルティングを受け、満足のいく結果を得られていなかったという声が多いわけであります。

コンサルタントで結果が出ない、失敗する4つの理由

しかしお話を聞いていますと、満足のいく結果、つまり売上、利益などの業績向上に反映できていないのは次の4つの理由によるものと言えることが大半であります。

そこで今回は、コンサルタントの起用で失敗する4つの理由についてご説明いたします。

理由1)自社の問題や課題を理解していない

まずコンサルタントを起用する状況を考えてみましょう。

おそらく多くの経営者は、自社の何らかの問題や課題を解消するためにコンサルタントを起用すると思います。

例えば次のような問題や課題からコンサルタントの起用を考えるかと思います。

  • 売上が落ちてきているので接客力を強化したい(セレクトショップなど)
  • 売上が落ちてきているのでブランディングをしたい(アパレルメーカーなど)
  • 仕事がスムーズに進まないので社内の「仕組み化」を行いたい

端的に申し上げますとこの問題認識、課題認識自体が間違っている場合が少なくありません。

例えば、あるセレクトショップでは売上回復のために接客コンサルを行いました。

しかし売上はいっこうに回復しません。

その理由は、売上不振の原因が接客力にあるのではなく、人事制度や評価制度の不備によるモチベーションの低下にあったからです。

こうした状況であれば、接客コンサルティングの効果が売上や利益といった実績に反映されることはないでしょう。

こうした事例が実に多いわけです。

それでは何故こうした起用をしてしまうのでしょうか。

それは医療の場を思い浮かべてみると解りやすいと思います。

例えば、ご自身の体調が悪い時、まず初めに何をするでしょうか。

多くの方は、病院へいき診察や検査を受けると思います。

そして、診察結果をもとに信頼できる医師と相談し治療方針や対策を決めていきます。

しかし、体調悪化による不安から治療や薬の投与を急いだ場合はどうなるでしょうか。

例えば、インフルエンザの症状だからといって、検査も受けず特効薬であるタミフルを飲んだ場合です。

もしインフルエンザではなく、新型コロナであったら治るものも治らないかもしれません。

場合によっては本来の治療が遅れ、命に関わるかもしれません。

実際の医療の場では起こらないのかもしれませんが実に危険な行為であるわけです。

これを先ほどのセレクトショップの事例に置き換えて考えた場合はどうでしょうか。

売上不振の原因は接客力の不足と判断しコンサルタントを起用しました。

病院での診察や検査を受けることなく、コンサルタント起用という治療を行ったわけです。

その結果、効果が得られなかったわけであります。

自社の問題や課題を理解していないでコンサルタントを起用したためこのようになってしまうのです。

それではこうした失敗を防ぐためにはどのようにしたら良いのでしょうか。

それも医療の現場と同じです。

信頼できる病院で診察や検査を受けるべきです。

その上で、自社の問題や課題を正しく把握するべきでしょう。

そこで、当社が推奨するのが企業の健康診断「事業デューデリジェンス」です。

具体的には、会社の状況や課題を整理し調査報告書としてまとめ、今後の方針や対策を決めるためのレビューです。

医療の事例で言えば、診察と検査を行ったうえでの健康診断書となります。その会社版と考えて頂ければと思います。

こうした企業の健康診断「事業デューデリジェンス」を行い、自社の問題や課題を正しく捉えコンサルタントの起用をご検討頂ければ失敗する可能性は少なくなると考えます。

当社では次の2つの「事業デューデリジェンス」をご提案しております。

企業の健康診断としてご活用頂ければ幸いです。

デューデリジェンスのご紹介

理由2)依頼するコンサルタントの分類を間違えている

次に自社の問題や課題を正しく捉えていたとしても失敗するケースも多くあります。

それは選ぶコンサルタントの分類を間違えていることに起因します。

当社では、アパレル業界内のコンサルタントを次の4つに分類しています。

まず縦軸が「経営的」か「実務的」ということです。

「経営的」とはクライアントへのアプローチや支援方法が「経営視点」寄りかどうかということです。

対して「実務的」とはクライアントへのアプローチや支援方法が「実務視点」寄りかどうかということです。

次の横軸が「業界的・外部的」アプローチか、「内部環境的」アプローチかということです。

「業界的・外部的」アプローチとは、アプローチの手法が、外部環境(業界・外部)からであるということです。

「内部環境的アプローチ」とはアプローチの手法が、クライアントの内部環境(社内)を変えていくというところに特徴があります。

これらの分類については、こちらで詳しくご説明しているのでご確認頂ければと思います。

アパレル・ファッションビジネスにおけるコンサルタントの選び方

ここでは各分類のコンサルタントの起用でどのような失敗が生じるのかをご説明致します。

「業界コンサルタント」起用による失敗

「業界コンサルタント」とは、アパレル流通経路の多段階性、同質化現象などの業界的課題について取り組まれている方々です。

活動内容としては、出版や業界団体活動、行政への政策提言などを行っている場合もあります。

しかし、こうした方々を自社のコンサルタントとしたところで業績は改善するでしょうか。

これらの方が見ているのは個別企業ではなくアパレル業界全体です。

アパレル業界を研究している学者のような方々に自社の個別の問題や課題を相談しても何の解決にはならないでしょう。

ケースとしては多くはありませんがこのような失敗に繋がるわけであります。

「業務委託コンサルタント」起用による失敗

「業務委託コンサルタント」とは、多くの場合は、クライアントに代わって業務を代行するという形態をとります。

例えば、ブランディング委託、トレンド予測、MD(マーチャンダイジング)代行、自社サイト構築委託など、クライアントに代わり業務を代行している方々です。

基本的には外部委託ですので自社の経営資源に制約されず、業務効果がスピーディーに得られます。

しかし、ノウハウや自社に蓄積されるわけではありません。

一時的には効果が生じますが、コンサルティングを終えると元の状態に戻ってしまいます。

場合によっては自社にとって必要不可欠な状態となり、永遠に契約を解除出来なくなる場合もあります。

こうした事例を実に多く見かけることがあります。

「実務コンサルタント」起用による失敗

「実務コンサルタント」とは、例えば、「接客コンサルタント」「VMDコンサルタント」「ブランディングコンサルタント」「MDコンサルタント」などで特定の実務領域のコンサルティングを行う方々です。

アパレル業界では、この実務コンサルタントの方々が実に多く存在しています。

また、コンサルタント起用で失敗するケースも一番多いように感じます。

その理由は二つあります。

一つ目は、「自社の問題や課題を理解していない」で説明したように、自社の問題や課題にそぐわない専門分野の実務コンサルティングを起用してしまう場合です。

二つ目は、必要以上の専門性の深さにあります。

これらの実務コンサルティングの方々は特定の実務に対して深い「匠の技」と言われるノウハウをお持ちの方もおります。

基本的なことを教えたあとは、そうした「匠の技」を教えていきます。例えば「接客歴20年の接客コンサルタントが教える接客の極意」みたいなものです。

それはそれで否定はしませんが、経営的な立場で考えればそうした「匠の技」を持つ販売員は必要ありません。そこを追求していくと点の深い世界に入り込んでしまいます。

それよりも入社2~3年目の新人を含め全体的なレベルを底上げしていくことが業績を上げるという意味では効果があります。

つまり、経営的な視点が欠け点の専門領域に入り込んでしまうため、本来の業績向上という効果が得にくくなってしまうわけです。こうした事例も実に多いわけであります。

「経営コンサルタント」起用による失敗

「経営コンサルタント」とは、経営全般、「ヒト・モノ・カネ」の視点から収益を上げていくことを考える方々です。

例えば次のような視点からアプローチしていきます。

ヒト⇒クライアントの状況に合わせた組織設計、教育、人事評価制度など

モノ⇒ブランディング戦略、店舗展開戦略、製造販売に関わるオペレーション構築など

カネ⇒BS・PL・CF視点での財務戦略、銀行取引戦略、原価管理など

アパレル業界ではこのポジショニングのコンサルタントが不足しているように感じています。

しかし、こうした「経営コンサルタント」を起用することによる失敗も見られます。

その理由は、実務や現場のことが解らないことに起因します。

つまり、言っていることは間違っていないのですが、実務を解っていないので現場から「出来るわけがない」と賛同を得られず改革が進まないわけです。

事例としては少ないのですが、大手のコンサルティング会社のコンサルタントを起用した場合に起こりやすい失敗となります。

以上、コンサルタントの分類と、失敗するパターンについてご説明してきました。

ちなみに当社は、「経営コンサルタント」「実務コンサルタント」の2つの領域に位置づけられると考えております。

詳しくお知りになりたい方はこちらをご覧くださいませ。

アパレルFDCA経営コンサルティング

理由3)研修・セミナーとコンサルティングを間違えている

3つ目は、研修・セミナーとコンサルティングの違いを間違えてしまっている場合です。

コンサルティングと聞くと大きな会場で、研修やセミナーを受けている場をイメージする方も少なくありません。

アパレル業界でもこうした研修やセミナーは数多く行われています。

しかし、コンサルタント業界の中ではそうした研修やセミナーを実施する方々を「セミナー講師」と呼んでおります。

研修・セミナー講師とコンサルタントは「似て非なるもの」です。

その違いはこちらのブログにてご説明しております。

アパレル事業におけるコンサルティングとセミナー・研修の違い

しかしながら、研修・セミナー講師の中には、自らを「コンサルタント」と呼称する方も少なくありません。

そのため、研修・セミナーを受けただけにも関わらず、「コンサルタントを起用しても効果が無かった」と誤解してしまっている方も少なくありません。

理由4)コンサルタントの個人的な資質によるもの

最後は、コンサルタントの資質に基づく理由です。

これまでご説明してきた1~4で間違っていなかったとしても、最後に大きな壁があります。

それはコンサルタントの個人的な資質によるものです。

この資質は、経験、実績、コミュニケーション力なども含まれます。

またコンサルタントも人間ですので、経営者やその会社のスタッフとの相性もあります。

しかし最も注意しなければならないのは、コンサルティングという商品が「見える化」されていないコンサルタントです。

コンサルティングとう商品(サービス)は無形財です。具体的に何をしていくのかが明確になっていないコンサルタントの方々を見かける場合もあります。

例えば、次のようなことをおっしゃる方々です。

「私に任せて頂ければ大丈夫」

「なんでも対応可能です」

こうした方々は、ご自身で何を提供するのか具体的になっていないのでこうしたコメントをおっしゃるわけであります。

また次のようなことを言う方々も要注意です。

「それって結局は感性。だから感性を磨きなさい」

アパレル業界ではこうしたコメントをする方々が多いように感じます。

そして、このコメントを発した後に、何かが改善した事例を見たことがありません。

言っている本人がどうしたら解らないのでこうした言葉に走っているのでしょう。

当社ではアパレル関連企業におけるコンサルティングとして「アパレルFDCA経営」を体系化し、商品化しております。

以上、今回はコンサルタント起用における失敗の事例として4つの理由を見てきました。

今回のブログがコンサルタント起用における参考になれば幸いです。

尚、アパレル業界のコンサルタント選びは、こちらの比較サイトもございます。

合わせてご参考にして頂ければと思います。

https://www.biz.ne.jp/matome/2004857/

当社はアパレル・ファッションビジネス経営を強くすることで、「ファッションが楽しい社会を創る」ことをコンサルティング事業の目的としています。

今回のブログが貴社のアパレル・ファッションビジネス経営にお役にたてれば光栄です。