当社ブログをご覧頂き誠にありがとうございます。

先月に続き。オリンピック女子バスケットチームに学ぶ「経営と組織」というテーマでブログを投稿させて頂きます。

「組織」をテーマとしたブログでありますので、アパレルメーカーや、ライフスタイルショップ、セレクトショップなどのアパレル業界以外の会社様でも参考になるかと思います。

前回のブログでは、チームワークを発揮するための4つの原則、1)「共通目標」、2)「情報共有」、3)「コミュニケーションの円滑化」、4)「役割定義」についてご説明してきました。

また、その中でも「役割定義」が重要であり、機能していない会社の症例についてご説明してまいりました。

前回をご覧になっていない方は、まずはこちらをご覧頂ければと思います。

アパレルのチームワークが発揮できない本当の理由とは?

第三部 事業戦略を「チームワーク」で実行する方法

さて今回は当社が実践している「チームワーク」を発揮する組織の作り方をご説明いたします。

この時期(年度末)になりますと各社、来年度の事業戦略や方針を考える時期になります。

また事業戦略の策定にあたり本年度の振り返りを行う会社様も多いかと思います。

先日もある雑貨メーカー様で来年度の事業戦略についてのご相談を受けました。
しかし毎年この時期に聞くご相談は次のようなものです。

・計画や戦略は間違っていないが実際に実行できているようには思えない

・計画を立ててはいるけどどれくらい実行されているか解らない

・実際、何も変わっていないように見える

・一部のスタッフしか実行していない

・計画実行に際して「チームワーク」が発揮されていない

・計画実行に向けての意欲やモチベーションが感じられない

毎年この時期は、このようなご相談を聞くことが少なくありません。

ここでもやはり、「組織」と「チームワーク」の課題が実に多いわけです。

それではどのようにしたら「チームワーク」を発揮できる組織は作れるのでしょうか。

組織改革は当社の専門分野の一つですが、重要な要素が3つあると考えています。

それは次の3つです。

要素1:組織設計と役割定義

・どのような組織形態にするか(組織の設計原則を厳守)
・誰を選びどのような役割(ミッション)定義を行うか
・役割は横の役割(営業部、企画部など)と縦の役割(管理職)を定義

要素2:マネジメントプロセス

・上記の組織でどうマネジメントプロセス(PDCA)を回すか
・PDCAを回す項目をどこに置くか
・PDCAの濃度をどれくらい強くするか
・その中で、誰がどの機能を担うか

要素3:人事制度

・上記を回す中で、個人の目標設定と評価をどのように行うか
・それをどのように賃金や賞与に反映するか
・そしてモチベーションアップにどのように繋げるか

この3つの要素の充足度と連動具合により組織やチームのパフォーマンスが変わります。

しかし、この3つの要素が充足し、その上で十分に連動している組織を見ることは稀です。

どこかの要素が不足しているか、連動していない場合が殆どです。

文章で書けば簡単なのですが、実際には非常に奥の深いテーマであるわけです。

日本女子バスケットの組織運営の場合

ここで改めて、オリンピック女子バスケットチームの組織運営をこの3つの要素から見ていきたいと思います。

日本女子バスケットチームを率いたホーバス監督ですが、日本女子バスケットチームの目的は「優勝」にありました。会社で言えば事業目的と言っても良いでしょう。

またそのための方針として「スーパースターではなく、スーパーチーム」「全員が40分走れるチーム」「全員が3Pシュートを打てるチーム」という方針を立てました。これは会社で言えば事業戦略と言えるでしょう。

こうした目標や方針を立てること自体はそう難しいことではありません。

おそらくホーバス監督でなくてもこうした目標や方針を立てることは可能です。

重要なのは、それを如何に実行出来る組織にしていくかです。

そのために必要なのが先ほどの3つの要素であるわけです。

要素1:組織設計と役割定義

日本女子バスケットチームの組織設計は次のようになっていました。


(公益財団法人日本女子バスケットボール協会より)

バスケットは5人(ベンチ含めると12名)の選手で行うスポーツですが、それ以外にも監督の下に、11名のリーダーやコーチ、トレーナー、マネージャーが携わっています。

詳細は解りませんが、ホーバス監督の優勝という目的や「スーパースターではなく、スーパーチーム」「全員が40分走れるチーム」「全員が3Pシュートを打てるチーム」という方針を実行するために、これらの方々が人選され、各々の役割(ミッション)定義がなされていたのだと思います。

また実際の12名の選手にもプレイ上の役割が付与されています。

詳細は割愛しますがバスケットには、ポイントガード(PG)、シューティングガード(SG)、スモールフォワード(SF)、パワーフォワード(PF)、センター(C)などの役割があります。

監督やマネージャーなどのチームスタッフの役割が、「縦の役割」となり、選手のプレイ上のポイントガード(PG)などの役割がが「横の役割」となるわけです。

こうしたチームスタッフ、選手の組織形態をどのようにするか、その中で誰にどのような役割(ミッション)定義を行うか、それには縦の役割と横の役割を定義していくことが必要なわけです。

前回のブログでは、こうした「役割(ミッション)定義」がチームワークにとって重要であることをご説明しました。

会社の場合も、こうした縦と横の役割(ミッション)定義が重要なわけであります。

また事業戦略の内容や方向によって、組織形態や、誰を選ぶか、どのような役割(ミッション)定義を行うかも変わってきます。

そのため事業戦略によって組織設計も毎年見直していかなくてはならないわけであります。

有名な経営学の言葉で言うと「戦略は組織を規定する(チャンドラー)」ということです。

この点、外資系企業では事業戦略が変わると直ちに組織形態や、マネージャーなどのリーダー職を変えていきます。私(有馬)が長年勤めていた外資系銀行でも毎年、場合によっては期中に組織変更やリーダー変更がありました。

それは常に環境に合わせ事業戦略を見直し、それにより組織も変わるからです。

要素2:マネジメントプロセス

上記までは一般的な経営学、組織論でも言われていることであります。

しかし当社では上記に加え、実際に事業目的や事業計画を実行するためのマネジメントプロセス(PDCA)を重要視しています。

こちらも日本女子バスケットチームの事例で説明させて頂きます。

スポーツの世界でも練習前の打ち合わせ、練習後の反省会は当然行われます。

オフェンスやディフェンスなどの戦術を組み立て、それを練習試合で実行し、その結果を反省会で振り返るということを行っています。

ここでもPDCAのサイクルが回っているわけです。

また練習メニューやPDCAを回す項目もホーバス監督の「スーパースターではなく、スーパーチーム」「全員が40分走れるチーム」「全員が3Pシュートを打てるチーム」という方針を踏まえているのは間違いないでしょう。

選手は、この方針を踏まえ、自らの課題を設定(P)し、練習で実行(D)し、その結果をコーチからチェック(C)され、その結果から改善(A)を行い、ホーバス監督の方針に近づいていくわけです。

またホーバス監督の練習メニューは、練習やその指導が非常に厳しいことで有名です。

おそらく監督以外のマネージャーやコーチも細かく厳しく指導していると推測されます。

このPDCAの濃度は「頻度」「厳しさ」「細かさ」で決まっていきます。

例えば、チーム結成時に目標や計画を立て、オリンピック後に振り返りを行うだけであればPDCAの濃度は低いということになります。

逆に毎日の練習を行い、指摘や指導を細かく受けるのであればPDCAの濃度は高くなると言えます。

最近では「鬼速PDCA」という書籍がベストセラーになっていますがPDCAの速度も重要であるわけです。

また、結果に対して「次頑張りましょう」で済む緩さであれば濃度は弱くなりますし、「出来るまで帰るな」といった厳しさであれば濃度は高くなります。

PDCAの濃度が低すぎれば計画や方針の実行度は弱くなりますが、高くし過ぎるとそれはそれで弊害も出てきます。

ここは目標や方針によって適切な濃度が変わってきます。

日本女子バスケットチームの場合は「優勝」が目的でしたので世界一といわれる練習量の中でPDCAの濃度を高くしていたわけです。

またこうしたPDCAの項目を誰がどのタイミングでチェック(C)して改善(A)に繋げていくのかも定義していかなくてはなりません。

マネージャーが何を見て、コーチが何を見るといった定義となります。ここは組織設計の役割定義とリンクしています。

そして会社の場合も、こうしたマネジメントプロセス(PDCA)が重要となります。

計画立案や承認、その経過報告をどのような会議体やミーティングなどのプロセスの中で行うか。

どの位の頻度で行うのか。また、どのくらいの厳しさでPDCA回すのか。

また、どの項目でPDCAを回すのか。そして、こうしたPDCAプロセスの中で、誰がなにをチェック(C)するのか。

これらを適切に決めることでマネジメントプロセスが効果的に回ります。

要素3:人事制度

最後に要素3の人事制度です。

ここも要素1の組織設計、要素2のマネジメントプロセスとも密接に関連しています。

こちらも日本女子バスケットチームの事例で説明させて頂きます。

個人の目標設定と評価は、縦の役割であるマネージャーやコーチにより異なるはずです。また、横の役割ポイントガード(PG)、シューティングガード(SG)により異なるはずです。

そしてそれは、「全員が40分走れるチーム」「全員が3Pシュートを打てるチーム」といった方針ともリンクするはずです。

「私はポイントガード(PG)だから3Pシュートを打てなくてもいい」は通用しません。

当然、ポイントガード(PG)でも3Pシュートは目標設定され評価項目とくるでしょう。

また上記の目標に対する評価も反映されていきます。

日本女子バスケットチームでは代表選手の選考という形で反映されていきます。

そしてこの目標設定と評価を通じて、一人一人のやるべきことがより明確となり、評価に反映されることでモチベーションに影響するわけです。

会社の場合、事業戦略や方針を踏まえ、個人個人の目標設定をどこにおくか。

それをどのような指標で評価し、報酬に連動させるか。ここまでリンクさせることでモチベーションに影響するわけです。

ちなみに私(有馬)が以前勤めていた外資銀行では、事業戦略と方針が都度変わることをご説明しました。そうすると自動的に個人の目標設定や評価項目も変っていました。

場合によっては上期と下期の目標設定と評価内容が違うということもしばしばありました。

事業戦略や方針を個人レベルにまで落とすという意味では必要な要素ということを理解しているから当然そのようになるわけです。

事業戦略とチームワーク(まとめ)

以上が、事業戦略を「チームワーク」で進めていくうえで必要な3つの要素です。

日本女子バスケットチームの場合、「優勝」という目標に対し、「スーパースターではなく、スーパーチーム」「全員が40分走れるチーム」「全員が3Pシュートを打てるチーム」という方針を立て、それを実行する組織を設計し、それを実行するマネジメントプロセスを組み立て高い濃度でPDCAを回し、それを個人レベルでの人事制度まで落とし込んだ。

その結果、チーム方針が実現され、「準優勝」という結果に繋がったということだと思います。

バスケットは、コート上ではたった5名の選手で行うスポーツですが実にこれだけの組織的な背景があるわけです。

これは会社でも同じで、どんなに立派で素晴らしい事業戦略や方針を立てても、それを実行する組織やマネジメントプロセス、人事制度が無ければ事業戦略の実行度は弱くなると言えます。

しかし、会社や事業内容によって、組織設計、マネジメントプロセス、人事制度は構築するする必要があり、「これが良い」という絶対的な正解はありません。

また事業戦略によっては毎年調整していく必要があります。

ここが一番難しいところで、当社でもこの3つの要素を組み立てていくには2~3年の期間を必要とします。

どちらにせよ、重要な事業戦略を行う場合は、これらも合わせて組み立てていく必要があるといえるでしょう。

3つの要素と「チームワーク原則」の関係(補足)

最後に「チームワーク原則」との関連について少し補足させて頂きます。

前回のブログで「チームワーク」実現には次の4つの原則が一般的に言われていると説明しました。
1)共通目標
2)情報共有
3)コミュニケーションの円滑化
4)メンバーの役割設定

実はこの4つの原則は、今回ご説明した3つの要素を実施することで自然と補完できるものとなっています。

組織設計を行うなかで4)メンバーの役割設定が決められます。

また、その目的や理由を十分に説明していくことになります。

なぜこの組織形態なのか、何故マネージャーやコーチが誰なのか、なぜこうしたマネジメントプロセスでPDCAを回すのかを説明する必要があります。

その過程で、1)共通目標、2)情報共有がなされるでしょう。

また、マネジメントプロセスでのPDCAの場で2)情報共有、3)コミュニケーションが成立しますし、人事制度における評価段階でも3)コミュニケーションがなされます。

つまり今回の3つの要素を実現することで自然と「チームワーク」も行える組織となるわけです。

以上、これまで3部構成で「経営と組織」についてご説明してきました。

事業計画を立てられる会社様も多い時期ですのでご参考になれば幸いです。

次回からはまた別テーマでのブログを執筆いたします。

 

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