業績不振会社に投資する「アパレル・リノベーションM&A®」のご説明

今回は当社のコンサルティングメニューの一つである「アパレル・リノベーションM&A®」について解説をいたします。

事業再生投資としてのアパレル・リノベーションM&Aとは

アパレル・リノベーションM&Aとは、あえて業績不調、債務超過などのアパレル会社(以下アパレル再生会社と定義)をM&Aで安価で購入し、再生(リノベーション)して成長戦略、投資戦略に活用する事業再生投資の手法です(当社定義)。

有名な例ですと星野リゾートによる旅館、ホテル再生事業があげられます。同社が地方の業績不振の旅館、ホテルを購入しリノベーションして収益化しているのは聞いたことがあるのではないでしょうか。例えば島根県松江市の玉造温泉にある旅館「華仙亭遊楽」は現在では予約も取りにくいほど繁盛する高級旅館ですが、2007年に星野リゾートが手掛けるまでは業績不振におかれ経営難に陥っていた旅館でした。

一般的にはアパレル業界はバブル崩壊後、現在も不況業種の烙印を押され長期低迷している業界と思われています。成長業種、成長企業、例えばIT産業、最先端技術をもつ製造業、化学、エネルギー、医薬品等に投資する投資家からすれば、こうしたアパレル会社へのM&A投資は理解に苦しむところなのですが、これこそ事業再生投資なのです。再生、リノベーションできる誰もが狙わない業種・会社を全て解ったうえであえて狙うことが重要なのです。本ブログを最後までお読みになればこうした星野リゾートのこの戦略がファンドの投資戦略、中小企業の投資・成長投資戦略として有効であることがご理解いただけると思います。

驚異的な投資利益を実現するアパレル・リノベーションM&A

こうした星野リゾートのような大手企業による事例は有名ですが、事業再生投資における主なプレーヤーはこれまで事業再生ファンドや一部の大手企業が主体でした。

事業再生ファンドの場合は、ファンドの運営母体は、外資系、投資銀行系、商社系、ノンバンク、サービサー系などのプレーヤーが混在しているのが特徴です。成長業種、成長企業への投資を行う投資ファンドと比較すると規模も小さく、ニッチな世界なのですが、バブル崩壊後、不良債権投資ビジネスの一つとして、こうした事業再生投資ファンドが増えてきました。当社代表である有馬もこうした投資銀行、事業再生ファンド(サービサー)で長らく事業再生投資の世界で生きてきました。

それでは何故、こうしたプレーヤーは業績不振である再生会社をあえて購入するのでしょうか。

理由はその投資における利益のインパクトが圧倒的に大きいからです。

例えば低金利時代の昨今、銀行の定期預金は0.1%を割り込んでいます。

株式市場での株式投資でも10~30%の利益率が確保できれば成功と言えるでしょう。

しかし事業再生投資が成功した場合の利益率は桁外れとなります。

例えば、投資額100百万円に対する回収額が300百万円(投資倍率3倍)、投資額30百万円に対する回収額が300百万円(投資倍率10倍)、こうした事例はそう珍しくないレスポンスなのです。

投資ファンドの場合は、投資額に対する回収額を投資倍率として表記する方が一般的なため倍率表記にしていますが、要は投資資金(元本)が3倍にも10倍にも膨れ上がるという世界なのです。

一般的な経営者には馴染みのない投資の世界なのですが事業再生投資においては決して珍しくないレスポンスなのです。

アパレル・リノベーションM&Aは不動産のリノベーション投資と同じ

それでも納得いかない、そんな美味い話はないと考えるかたもいらっしゃるかと思います。

そこで不動産購入に例えて考えてみては如何でしょうか。

一般的なM&Aは不動産購入に例えるとサラリーマンの新築物件の購入に似ています。

サラリーマンの新築購入は多くの場合、投資目的ではなく定住目的ですので、自分の好きな地域や家族構成に合わせた間取りを選べば良いわけです。

20年~30年と定住するわけですから2年後、3年後の資産価値はあまり関係がなく、自分の人生設計に合わせ好きな物件を購入すれば良いわけです。

こうした購入目的の物件の選定基準は数年後に売却することは前提にしていないため、最終的な判断基準は「自分にあっているかどうか」ということになります。

新築物件

また新築物件には人気が集中する傾向がありますし、新築時の物件にはデベロッパーの利益も相当額も乗っています。

相対的に高い買い物になる傾向がありますが、一生住む「終の棲家」であるわけですから自分が納得する価格、自分の収入から払える価格であれば問題ないわけです。

一般的なM&Aも同じです。

自社の成長戦略に合わせ、欲しい要素を持つ会社を購入すれば良いわけです。

2~3年後の売却を考慮していませんので投資戦略的な視点は必要ありません。

また、黒字会社、優良会社に人気が集中しますので市場原理から購入価格も高騰する傾向にありますが自社の長期の成長戦略の中でメリットがあると判断されればそれでも良いわけです。

それに対してアパレル・リノベーションM&Aは不動産購入に例えるとリノベーション業者による中古物件の購入に似ています。

自分の好きな間取りやデザインにして定住しても良いですし、リノベーションして資産価値を高めて再売却して売買差益を得るのも良いでしょう。

賃貸にすればリノベーション前より高い賃料を得られますので賃料収入を得る場合も考えられます。

また物件の目利き力があれば、誰も狙わないような中古物件を安価で購入することも可能です。

このように考えると、一般的なM&Aはサラリーマンの自宅購入。リノベーションM&Aは利益目的のリノベーション投資に似ていると言えるでしょう。

中小企業も事業再生投資の主役になれる時代が到来

主役

こうした驚異的な投資利益を実現する事業再生投資、アパレル・リノベーションM&Aを中小企業が行うには事業再生投資を行うための市場が整備されている必要があります。

しかし、その前提条件が整備されていなかったというのがこれまでのM&A市場でした。

そのため、これまでの事業再生投資は星野リゾートや一部の大手企業や、外資系の事業再生ファンドにプレーヤーが限定されていました。

その理由は、これまでのM&A市場では、成長業種、黒字優良企業の案件が主体で、業績不振である再生会社の案件はあまり取り扱われていないということにありました。

しかし、ここ数年でM&A市場は、急激に拡大しています。

「2018年度版中小企業白書」によれば、2018年のM&Aの件数は約3,850件、売買金額は29兆8,892億円と件数、金額とも過去最高となるとされています。

こうしたM&A市場の拡大に伴い、これまでM&A市場に出てこなかった中小企業案件、業績不振の再生会社案件も多く見られるようになりました。

また市場規模の拡大を受け、M&A仲介会社の新規参入も増え、これまで扱われなかった業績不振会社の案件もM&A市場に出てきているのです。

また金融市場も整備されてきており、M&A実行時にかかる購入価格を融資する銀行も増えてきています。M&Aファイナンスと言われるものですが、投資銀行だけではなくメガバンク、地方銀行でもこうした融資を行っています。中小企業にとって手持ち資金が不足していてもM&Aが行える環境となってきているのです。

こうした近年のM&A市場の拡大、整備により、これまで事業再生ファンドや、一部の大手企業にしか出来なかったアパレル・リノベーションM&Aによる事業再生投資が、一般の中小企業にも実行できる時代が到来しているのです。

アパレル・リノベーションM&Aのポイント

投資として考えた場合、アパレル・リノベーションM&Aで重要なのは、「安く買って、高く売れること」です。

これは株式投資で考えて頂ければ解りやすいかと思います。

良い会社の株式を購入しても安定はしていますが、高く売れないことも多々あります。

逆に伸び代のあるベンチャー的会社の株式を初期の段階で購入しておけば株式売却時のキャピタルゲイン(売買益)は大きくなります。アパレル・リノベーションM&Aもこれと同じであります。

M&Aの仕組み

そこでまず、M&Aの仕組みについて簡単にご説明いたします。

M&Aでの購入価格、つまり購入する会社の事業価値は利益額、純資産の額により算定されますので、赤字の場合や、債務超過である場合、業界全般が不況と判断されている場合、事業価値は下がり購入価格は安価に設定されます。

またあえてそうした会社を購入しようとする方も少ないことからM&A市場での需要と供給の関係より購入価格はさらに抑えられることになります。

こうしたことから、M&A市場においての再生会社や、業界全般が不況と判断されている場合は「買い手市場」になる傾向があります。

一方で、成長業種の会社、安定的な利益を計上している会社、純資産額が多額な会社、業界全般が好調と判断されている場合、事業価値が高くなり、かつこうした会社を欲しがる買い手も多いことから需要と供給の関係からもM&Aの購入価格は高くなる傾向にあります。

これまでのM&A市場は一部を除いてはこうした優良会社のM&Aが主流となっています。当然こうした優良会社、好調とされる業種のM&A市場は「売り手市場」となるわけです

つまり、M&Aの内容からすると、業界全般が好調な人気の高い会社を高く買うのが一般的M&A。

人気がない不況業界の再生会社をあえて安く買うのがアパレル・リノベーションM&Aということが出来るでしょう。

そして投資としての最終的なキャピタルゲイン(売却益)を考えるうえでは、後者の方が得られる利益が多いことは株式投資の例からも理解しやすいと思います。

以上、ここまでをアパレル・リノベーションM&Aの基本的な考え方の部分とさせていただき

次回より具体的に、アパレル・リノベーションM&Aを成功させるために必要な要素を具体的にお伝えさせていただきます。

次の記事:アパレル・リノベーションM&Aを成功させるための3つの要素

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